GUIDE 05

演算の優先順位: -2^2、6÷2(1+2) 論争と電卓のルール

かっこ・後置演算子・べき乗・単項マイナス・乗算の優先順位、-2^2 = -4 なのに Excel では 4 になる理由、右結合のべき乗、SciKey が 6÷2(1+2) をどう計算するかを解説します。

同じ数式でも、電卓によって結果が変わることがあります。その原因のほとんどは、それぞれの電卓が演算の優先順位をどう定めているかにあります。このガイドでは SciKey の優先順位表の全体を示し、たびたび議論になる三つの式 -2^22^3^26÷2(1+2) を詳しく見ていきます。

1. SciKey の優先順位(高い順)

順位演算結合方向
1かっこ、関数呼び出し(1+2)sin(30)
2後置 ! % °左から右5! = 120、50% = 0.5
3べき乗 ^右から左2^3^2 = 512
4単項 - +-2^2 = −4
5×÷mod、省略された乗算左から右6÷2(1+2) = 9
6+左から右10−4−3 = 3

同じ順位の演算子は結合方向に従います。8÷2÷2 は (8÷2)÷2 = 2、10−4−3 は (10−4)−3 = 3 です。

2. -2^2 はなぜ −4 なのか

数学では −2² を −(2²) = −4 と読みます。べき乗が先で、マイナスはその結果にかかります。x = 2 のとき −x² = −4 になるのと同じ規則です。SciKey は単項マイナスをべき乗より低い順位にしているので、-2^2 は −4 を返します。(−2)² を求めるにはかっこを使います: (-2)^2 = 4。

指数側の符号はそのまま使えます: 2^-3 は 2⁻³ = 0.125。

Excel は違う

Microsoft Excel では =-2^24 を返します。Microsoft のドキュメント「Excel の計算演算子と優先順位」では、優先順位の表で負の符号(−1 のマイナス)がパーセント(%)やべき乗(^)より上に置かれているため、Excel は (−2)² を計算します。表計算ソフトと電卓の結果が食い違ったら、これを疑いましょう。Excel で −4 を得るには =-(2^2) と入力します。

プログラミング言語もさまざまです。Python は -2**2 を −4 と計算します(数学の慣習と同じ)が、JavaScript は -2**2 をあいまいとみなし、かっこを付けない限り構文エラーとして受け付けません。

3. べき乗は右から: 2^3^2 = 512

数学では 2^3^2 のようなべき乗の塔は 2^(3²) = 2⁹ = 512 を意味します。指数の指数を先に計算するからです。SciKey は ^ を右結合として扱うので、2^3^2 = 512 です。(2³)² = 64 を求めるなら (2^3)^2 と書きます。

Excel のドキュメントには、同じ優先順位の演算子は左から右に計算され、べき乗も例外ではないとあるため、Excel では =2^3^2 が 64 になります。ここでも、かっこを使えばどこでも意図がはっきりします。

4. 6÷2(1+2) 論争

この式はネット上で繰り返し話題になり、9 派と 1 派に分かれて議論が続きます。

  • 9 と読む立場: 省略された乗算もただの乗算。6÷2×3 = (6÷2)×3 = 9。
  • 1 と読む立場: 2(1+2) は 2a のようにひとまとまりなので先に計算する。6÷(2×3) = 1。

公正な結論は、どちらかが「間違い」なのではなく、表記そのものがあいまいだということです。専門的な文章ではこの書き方を避け、分数の横線やかっこを使います。

SciKey の選択

SciKey は省略された乗算を通常の乗算・除算と同じ優先順位とし、左から計算します。したがって:

  • 6÷2(1+2) = 9
  • 1/2π = (1/2)×π = 1.57079632679(π/2 とも表示)
  • 1/(2π) を求めるなら 1/(2π) = 0.159154943092

こうしたのは、規則が一つのほうが予測しやすいからです。乗算と除算は、記号が書かれているかどうかにかかわらず、書かれた順に計算します。

ほかの電卓は?

メーカーや機種によっては、記号を省略した乗算を通常の × や ÷ より先に計算するよう設計されているため、同じ式で 1 が出ることがあります。挙動は機種ごとに違うので、試験で使う電卓の取扱説明書を確認してください。いちばん安全なのは、そもそもあいまいな式を入力しないことです。

5. 後置演算子と %

!%° は直前の値にだけかかります。

  • 3!2 = 3! × 2 = 12(省略された乗算)
  • 2×3! = 12、一方 (2×3)! = 720
  • 200×15% = 200 × 0.15 = 30
  • 100+10% = 100 + 0.1 = 100.1

最後の例に注意してください。卓上電卓の中には 100 + 10 % を「100 に 10% を加える」(= 110)と扱うものがありますが、SciKey の % は単に 100 で割るだけです。10% の割増なら 100×(1+10%) = 110 と入力します。

6. mod の優先順位と符号

mod は乗算と同じ順位です。2+7 mod 3 は 2 + (7 mod 3) = 3。結果の符号は割る数に従います: -7 mod 3 = 2、7 mod -3 = −2。-7 mod 3 では、単項の符号が乗算の順位より上なので、マイナスがまず 7 に付きます。

7. 関数・定数とべき乗

関数呼び出しは最も優先順位が高いので、sin(30)^2 は (sin 30°)² = 0.25 で、教科書の sin²30° と同じです(DEG)。30² の正弦を求めるなら中に入れます: sin(30^2)。SciKey では関数にかっこが必須なので、sin 30^2 のようなあいまいな入力は受け付けません。

定数の後ろのべき乗は、省略された乗算より強く結び付きます。2π^2 は 2×(π²) = 19.7392088022 で、(2π)² = 39.4784176044 ではありません。そのため球の表面積 4πr² を 4πx^2 と入力しても意図どおりに計算されます。

8. かっこであいまいさをなくす

規則を覚えるより確実なのは、かっこを惜しまず使うことです。

意図あいまいな入力明確な入力
a/(bc)a/bca/(b×c)
(−x)²-x^2(-x)^2
e^(−t/RC)e^-t/RCe^(-t/(R×C))
(a+b)/2a+b/2(a+b)/2

表の a、b、t、R、C は仮の文字です。SciKey では数値か変数 x・y・z に置き換えてください(R は気体定数にすでに使われている点に注意)。3行目の e^-t/RC は (e^−t)/RC と計算されます。指数が式のときは必ずかっこでくくりましょう。余分なかっこで答えが間違うことはありませんが、かっこが足りないと間違えることはよくあります。

9. まとめ

  • べき乗は単項マイナスより先: -2^2 = −4(Excel では 4)
  • べき乗は右から: 2^3^2 = 512
  • ×、÷、省略された乗算は同じ順位で左から: 6÷2(1+2) = 9
  • % は 100 で割る: 100+10% = 100.1
  • 迷ったらかっこを付ける

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最終更新: 2026-09-24