GUIDE 01

関数電卓の使い方: 数式入力から Ans・変数・メモリまで

数式を丸ごと入力する方法、かっこの自動補完、Ans による連続計算、STO と M+ での値の保存、NORM・SCI・ENG 表示の選び方を、実際の例題で解説します。

関数電卓は、キーを押すたびに計算する一般的な電卓とは使い方が違います。数式全体を先に入力し、最後にまとめて計算します。 演算の優先順位とかっこが書いたとおりに適用されるので、紙の上の公式をほぼそのまま写せます。このガイドでは、SciKey での数式の入力方法、結果の再利用(Ans・変数・メモリ)、表示形式の選び方を、実際の例で説明します。

1. 数式入力の基本

画面のキーパッドでもキーボードでも入力できます。入力している間も結果のプレビューが更新され、Enter= を押すと値が確定して履歴に追加されます。

  • 乗算は ×*、除算は ÷/、べき乗は ^ で入力します。
  • 関数には必ずかっこを付けます: sin 30 ではなく sin(30)
  • 引数が二つの関数はカンマで区切ります: log(2, 8) = 3、nCr(5, 2) = 10。
  • 数とかっこ・定数・関数の間の乗算記号は省略できます: 3(4+5)2sin(30) はどれも積です。

かっこの自動補完

数式の末尾で閉じていないかっこは自動で閉じられます。sin(30 と入力して Enter を押すと sin(30) として計算されます。便利ですが、閉じられるのは末尾だけです。 sqrt(9+16 + 1sqrt(9+16) + 1 = 6 ではなく sqrt(9+16+1) = 5.0990 になります。途中でかっこを閉じる必要があるときは、自分で閉じてください。

2. Ans と連続計算

Ans には直前に確定した結果が入っているので、打ち直さずに計算を続けられます。

  • 数式が演算子で始まると、先頭に Ans が自動で入ります。結果が出た直後に ×2 と入力すると Ans×2 になります。
  • Ans はどこにでも書けます: sqrt(Ans)1/Ans

例: 複利の増加率。 年 8% で 10 年間増えたときの倍率を求め、それを 1,000 に掛けます。

  1. 1.08^10 → 2.15892499727
  2. ×1000 と入力(Ans×1000 になる)→ 2158.92499727

3. STO で変数 x・y・z に保存する

Ans は計算のたびに書き換わります。何ステップにもわたって使う値は保存しておきましょう。結果が表示されている状態で [STO] を押し、続けて [x](または y・z)を押します。以後、数式に x と書くとその値が入り、2xπx^2 のように続けて書くこともできます。

例: 斜面上の物体。 質量 12 kg の物体が傾斜角 30° の斜面にあり、動摩擦係数は 0.2 です(角度モードは DEG)。

  1. 12×g0 → 117.6798(重力、単位 N。g0 は標準重力加速度 9.80665 m/s²)→ [STO][x]
  2. x×sin(30) → 58.8399(斜面に沿った成分)→ [STO][y]
  3. x×cos(30) → 101.913696312(垂直抗力)→ [STO][z]
  4. y − 0.2z → 38.4571607375(摩擦を差し引いた合力、N)
  5. Ans/12 → 3.20476339479(加速度、m/s²)

途中の値を手で書き写さないので、丸め誤差が入り込みません。この習慣は試験でも役立ちます。

4. 同じ式を値だけ変えて繰り返す

例: 半径 2.5、4、7.5 の円の面積。

  1. 2.5 を入力して確定 → [STO][x]
  2. πx^2 → 19.6349540849
  3. 4 を確定 → [STO][x]。履歴の πx^2 をタップして呼び出し、確定 → 50.2654824574
  4. 7.5 → [STO][x] → πx^2 → 176.714586764

べき乗は省略された乗算より強く結び付くので、πx^2 は π×(x²) の意味になります。履歴には直近 50 件の計算がブラウザの localStorage に保存され、項目をタップすると数式を呼び出せます。サーバーには何も送信されません。

5. 独立メモリ: M+・M−・MR・MC

いくつかの結果を合計したいときは独立メモリ M を使います。[M+] は現在の結果を M に加え、[M−] は M から引き、[MR] は数式に M を入れ、[MC] は M を 0 に戻します。

例: 100 Ω、220 Ω、330 Ω の抵抗をそれぞれ 12 V につないだときの消費電力の合計。

  1. [MC] でメモリをクリア
  2. 12^2/100 → 1.44 → [M+]
  3. 12^2/220 → 0.654545454545 → [M+]
  4. 12^2/330 → 0.436363636364 → [M+]
  5. [MR] → M = 2.53090909091(W)

違いを覚えておきましょう。x・y・z は上書き、M は加算です。

6. 表示形式: NORM・SCI・ENG と有効桁数

内部ではすべて IEEE 754 倍精度(有効数字およそ 15~17 桁)で計算します。画面には、選んだ有効桁数(6~15、既定 12)に丸めた値が表示されます。

形式規則0.000047123456789
NORM大きさが 1e−9 以上 1e12 未満なら通常表記0.000047123456789
SCI常に a.bcd×10ⁿ4.7×10⁻⁵1.23456789×10⁸
ENG指数が 3 の倍数47×10⁻⁶123.456789×10⁶

ENG は μ(10⁻⁶)や M(10⁶)などの SI 接頭語にそのまま対応するため、電子回路の計算でよく使われます。表示桁数を減らしても保存されている値は変わりません。変わるのは表示だけで、その後の計算は完全な精度で続きます。

7. 分数・π の倍数・進数表示

  • 結果が分母 10,000 以下の分数と表示精度の範囲で一致すれば、分数も表示されます: 0.75 → 3/4、1/3 → 0.333333333333 と 1/3。
  • π の簡単な倍数も表示されます: RAD モードで asin(1) は 1.57079632679 と π/2。
  • 絶対値が 2⁵³ 以下の整数の結果には、2進・8進・16進も表示されます: 255 → 11111111 / 377 / FF。
  • 進数を直接入力することもできます: 0x1F = 31、0b1011 = 11、0o17 = 15。

8. よくあるミス

  • 角度モードの確認忘れ。 度で出題された問題を RAD モードで解くと、sin(30) は −0.988 になります。まず DEG/RAD の表示を確認しましょう。
  • 分母をかっこでくくらない。 1/2π は (1/2)×π = 1.5708 です。1/(2π) なら 1/(2π) = 0.159155 と入力します。
  • 負の数のべき乗。 -2^2 は −4 です。(−2)² は (-2)^2 と入力します。
  • 途中の値を手で丸めて打ち直す。 Ans と STO なら完全な精度が保たれます。

公式を1行で書く、長い計算は変数に分けて保存する、答えの大きさがもっともらしいか確かめる。この三つの習慣で、電卓のミスはほとんどなくなります。

→ 電卓を開く 関数リファレンス

最終更新: 2026-09-24