関数電卓は、キーを押すたびに計算する一般的な電卓とは使い方が違います。数式全体を先に入力し、最後にまとめて計算します。 演算の優先順位とかっこが書いたとおりに適用されるので、紙の上の公式をほぼそのまま写せます。このガイドでは、SciKey での数式の入力方法、結果の再利用(Ans・変数・メモリ)、表示形式の選び方を、実際の例で説明します。
1. 数式入力の基本
画面のキーパッドでもキーボードでも入力できます。入力している間も結果のプレビューが更新され、Enter か = を押すと値が確定して履歴に追加されます。
- 乗算は
×か*、除算は÷か/、べき乗は^で入力します。 - 関数には必ずかっこを付けます:
sin 30ではなくsin(30)。 - 引数が二つの関数はカンマで区切ります:
log(2, 8)= 3、nCr(5, 2)= 10。 - 数とかっこ・定数・関数の間の乗算記号は省略できます:
2π、3(4+5)、2sin(30)はどれも積です。
かっこの自動補完
数式の末尾で閉じていないかっこは自動で閉じられます。sin(30 と入力して Enter を押すと sin(30) として計算されます。便利ですが、閉じられるのは末尾だけです。 sqrt(9+16 + 1 は sqrt(9+16) + 1 = 6 ではなく sqrt(9+16+1) = 5.0990 になります。途中でかっこを閉じる必要があるときは、自分で閉じてください。
2. Ans と連続計算
Ans には直前に確定した結果が入っているので、打ち直さずに計算を続けられます。
- 数式が演算子で始まると、先頭に
Ansが自動で入ります。結果が出た直後に×2と入力するとAns×2になります。 Ansはどこにでも書けます:sqrt(Ans)、1/Ans。
例: 複利の増加率。 年 8% で 10 年間増えたときの倍率を求め、それを 1,000 に掛けます。
1.08^10→ 2.15892499727×1000と入力(Ans×1000になる)→ 2158.92499727
3. STO で変数 x・y・z に保存する
Ans は計算のたびに書き換わります。何ステップにもわたって使う値は保存しておきましょう。結果が表示されている状態で [STO] を押し、続けて [x](または y・z)を押します。以後、数式に x と書くとその値が入り、2x や πx^2 のように続けて書くこともできます。
例: 斜面上の物体。 質量 12 kg の物体が傾斜角 30° の斜面にあり、動摩擦係数は 0.2 です(角度モードは DEG)。
12×g0→ 117.6798(重力、単位 N。g0は標準重力加速度 9.80665 m/s²)→ [STO][x]x×sin(30)→ 58.8399(斜面に沿った成分)→ [STO][y]x×cos(30)→ 101.913696312(垂直抗力)→ [STO][z]y − 0.2z→ 38.4571607375(摩擦を差し引いた合力、N)Ans/12→ 3.20476339479(加速度、m/s²)
途中の値を手で書き写さないので、丸め誤差が入り込みません。この習慣は試験でも役立ちます。
4. 同じ式を値だけ変えて繰り返す
例: 半径 2.5、4、7.5 の円の面積。
2.5を入力して確定 → [STO][x]πx^2→ 19.63495408494を確定 → [STO][x]。履歴のπx^2をタップして呼び出し、確定 → 50.26548245747.5→ [STO][x] →πx^2→ 176.714586764
べき乗は省略された乗算より強く結び付くので、πx^2 は π×(x²) の意味になります。履歴には直近 50 件の計算がブラウザの localStorage に保存され、項目をタップすると数式を呼び出せます。サーバーには何も送信されません。
5. 独立メモリ: M+・M−・MR・MC
いくつかの結果を合計したいときは独立メモリ M を使います。[M+] は現在の結果を M に加え、[M−] は M から引き、[MR] は数式に M を入れ、[MC] は M を 0 に戻します。
例: 100 Ω、220 Ω、330 Ω の抵抗をそれぞれ 12 V につないだときの消費電力の合計。
- [MC] でメモリをクリア
12^2/100→ 1.44 → [M+]12^2/220→ 0.654545454545 → [M+]12^2/330→ 0.436363636364 → [M+]- [MR] →
M= 2.53090909091(W)
違いを覚えておきましょう。x・y・z は上書き、M は加算です。
6. 表示形式: NORM・SCI・ENG と有効桁数
内部ではすべて IEEE 754 倍精度(有効数字およそ 15~17 桁)で計算します。画面には、選んだ有効桁数(6~15、既定 12)に丸めた値が表示されます。
| 形式 | 規則 | 0.000047 | 123456789 |
|---|---|---|---|
| NORM | 大きさが 1e−9 以上 1e12 未満なら通常表記 | 0.000047 | 123456789 |
| SCI | 常に a.bcd×10ⁿ | 4.7×10⁻⁵ | 1.23456789×10⁸ |
| ENG | 指数が 3 の倍数 | 47×10⁻⁶ | 123.456789×10⁶ |
ENG は μ(10⁻⁶)や M(10⁶)などの SI 接頭語にそのまま対応するため、電子回路の計算でよく使われます。表示桁数を減らしても保存されている値は変わりません。変わるのは表示だけで、その後の計算は完全な精度で続きます。
7. 分数・π の倍数・進数表示
- 結果が分母 10,000 以下の分数と表示精度の範囲で一致すれば、分数も表示されます:
0.75→ 3/4、1/3→ 0.333333333333 と 1/3。 - π の簡単な倍数も表示されます: RAD モードで
asin(1)は 1.57079632679 と π/2。 - 絶対値が 2⁵³ 以下の整数の結果には、2進・8進・16進も表示されます:
255→ 11111111 / 377 / FF。 - 進数を直接入力することもできます:
0x1F= 31、0b1011= 11、0o17= 15。
8. よくあるミス
- 角度モードの確認忘れ。 度で出題された問題を RAD モードで解くと、
sin(30)は −0.988 になります。まず DEG/RAD の表示を確認しましょう。 - 分母をかっこでくくらない。
1/2πは (1/2)×π = 1.5708 です。1/(2π) なら1/(2π)= 0.159155 と入力します。 - 負の数のべき乗。
-2^2は −4 です。(−2)² は(-2)^2と入力します。 - 途中の値を手で丸めて打ち直す。 Ans と STO なら完全な精度が保たれます。
公式を1行で書く、長い計算は変数に分けて保存する、答えの大きさがもっともらしいか確かめる。この三つの習慣で、電卓のミスはほとんどなくなります。